2008-10-01

体験から  NO 2280


 薬の服用に関するテレビ番組があったが、その中で複数の飲み合わせによる危険性について触れていた。

 我が業界に従事する人達の持病に多いのが神経性に因する胃潰瘍や十二指腸潰瘍だが、どうにも堪らなくなって初めて胃カメラ検査を受けた30歳頃のことを思い出していた。

 ずっと慢性的な痛みが続き、いつも市販薬に頼っていたそれまでだったが、腰から背中
まで鈍痛を感じて寝られなくなり、一睡もせずに朝を待って病院に駆け込んだのである。

診察室で問診を受け「朝食は?」と問われて「何も」と答えたら「すぐに2階へ」と命じられ、看護師さんにロッカーまで案内されて着替えとなった。

「アーンしてください」と看護師さん。「飲み込まないで」と言いながら何やらゼリー状のものを口に入れ、「これね、咽喉の部分に麻酔をするものです。しばらくそのままで『どうぞ』と言ってから飲み込んでください」で緊張の体験。5分ぐらいしてからその時間となった。

 やがて呼ばれて横になったベッドだが、枕元の上にテレビがあり、「よーし」という声で入ってこられた先生が、「ちょっと苦しいけど大丈夫だから」とカメラらしきものを準備、看護師さんに横になるように促されてその瞬間を迎えた。

 最近のカメラは随分と小さくて細くなり、口ではなく鼻から入れるようになっているが、当時のものはカメラも大きくて管も太く、咽喉を通る前から何度も吐き出すような苦しいものだった。 

 室内の照明が落とされ、テレビの画面だけが明るい状況。食道らしき部分が映し出されて「これから胃に入るよ」と進んでいく。

「お かしいな?胃の状態はきれいで問題がない」という先生の言葉。続いて「幽門から十二指腸へ入るから」と仰ったのだが、中々タイミングが合わないようで「緊 張しないでリラックスしなさい」と言われても恐怖と苦しみに耐えていた私。<何でもいいから早くやってよ!>というのが本音。そんな時、やっと十二指腸の 中の映像が映し出されてきた。

「あった。あった。これを見なさい」とご指摘されたのは、マッチ棒ぐらいの太さで1センチ程度の白い線。 「これが今の痛みとなっている潰瘍だよ。しかし『斬られの与三郎』みたいに古傷がいっぱいあるな。随分と前から苦しんできた筈だ」と教えられたのが少し黒 くなった線状のもの。ざっと数えただけでも10本は存在していた。

 そこで先生が「見事な潰瘍だ。典型的だ」と看護師さんに言われ、研修医らしき人達を呼び寄せるように命じられ、しばらくは研修のモデルと化したひとときが流れた。

「思った通り潰瘍だった。かなり痛みがひどかったでしょうが、今は素晴らしい薬の存在があるので心配はない。今日から痛みとはおさらば出来るから安心しなさい」で診察終了。処方された薬の多さにびっくりしたが、その日から間違いなく痛みが解消したのである。

 最も大変だった薬が瓶詰めの液体のもの。セメント色で毎食前に胃や十二指腸の壁に幕をつくる作用のためのものだった。

 それから3ヶ月ほど、食後は薬がデザートのようになったが、あれから約30年、予防する錠剤を就寝前に服用するだけで痛みに襲われることはなくなった。

  団塊世代となれば、何かの薬を服用しているのが当たり前。それならば、日常生活の中で重要なことは、自身が服用している薬が何かをいつでも伝えられるよう にしておくこと。突発的な病に襲われた時、それが救急車の隊員や受け入れ側の医師が把握できる情報として、命を救うキーワードともなるので心掛けましょ う。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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