2009-04-28

克服に向かって  NO 2404


  多くの患者さん達と知り合った。「同病相哀れむ」或いは「同病相憐れむ」という言葉があるが、誰もに共通していることは我々の病気が想像以上に残酷なこ と。ある瞬間に「機能」を失ってしまうからだが、症状は様々で、記憶そのものを失ってしまうそれこそ「昨日」を失った人達が多いのにも驚かされる。

 自分の奥さんや子供が分からないという人も何人かおられたし、新しい記憶が全く入力出来ない人も数人おられる。故に、そんな人達から比べると私の場合は軽症状ということになるが、それでも「時間を戻すことが出来たら!」と心から思う日々を過ごしているのである。

  手や足に何の問題もない人が看護師さん達を煩わせている。ある人は自分が入院していることさえ理解出来ず、「出口は何処だ!」と言いながら廊下を周回して いるし、一方の人はナース・ステーションの電話を勝手に使用して叱られているが、それに対して大声で怒鳴っている姿が悲しい光景としか見えないで辛いので ある。

 前にも書いたが、見舞いの人達に「この病気だけは絶対になるな!」「定期的に検査を!」と言い続けているのは誰もが同じ、それは体験したからこそ言えることだが、反省を通り越した後悔の世界では後の祭り、一人でもこの病気に罹る人が少なくなればと願っている。

 GWに突入、院内の先生方もお休みモードに入られるみたいで、明日のリハビリは9時5分のOTと11時15分のPTのみで、STはお休みとなっている。

 これまでに退院される人を見送ったのは6人おられるが、その中には施設に移られた方、またご自宅で家族の介護を受けられる方もあったが、介護する側の身体のことを心配するような方が多かった。

  健康保険の制度が変り、3ヶ月以上は病院に歓迎されなくなった悲しい現実、患者さん達には「3ヶ月で放り出される」と、法律を制定した政治家や官僚達を恨 む発言が飛び交っているが、それで思い出したのが助手席のシートベルト着用の法律のこと。今こそ後席も義務付けられているが、当時は「後席に座る連中が決 めた法律」として揶揄され、損害保険会社のバックアップ?なんて会話も耳にしていた。

 後期高齢者、高額医療費なんてことが自分や周囲で話題になると、想像もしていなかった問題が浮き上がってくるが、法律とはいつまで経っても「イタチゴッコ」にしか成立せず、その場しのぎから次の複雑な問題を生む傾向があるように思えてならない最近である。

 夜、自主トレで廊下を周回していると、親しい患者仲間がデイ・ルームにいるのが目に留まって立ち寄ったら、窓から下を指差し「あれ!」と私を促した。そこにはローソンが存在し、「酒・たばこ」という大きな看板が目立っていた。

「ああ、病気を恨むわ!酒だけが楽しみだったのに!」

 それは、しみじみと心に響いてきた悲しい歌声のようでもあり、そのオジサンの現在の心境を全て凝縮する本音でもあった。

 あれを食べたい。あそこに行きたい。そんな「欲望」の「たい」は生きる希望の「糧」であり、病気に「勝て」「克て」の重要なキーワードとなろう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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