2011-10-20

無尽講  NO 2728


 30歳の頃だった。同い年の友人から「誘われて」と言うよりも「頼まれて」と言うべきようなやりとりから、ある集いの一員に入会させて貰った。

  それは、所謂「頼母子」と呼ばれる講で、私を除く9人の方は、全て自転車関連業者の人達だった。チェーン、フレーム、サドル、グリップ、タイヤなの製造や 販売をされている人ばかりで、10人組でお一人が亡くなられたところから異業種から迎えようということになり、葬儀という余り馴染みのない私に回ってきた 経緯があった。

 頼母子とは「無尽」とも呼ばれ、その進化したのが相互銀行という歴史があるそうだが、頼母子のシステムとは面白いもので、初めて体験する月一回の会合に足を運んでいた。

 メンバーの皆さんが全員経営者、親交を目的に業界の情報の交換などもされていたが、年一回の旅行のための積立金が毎月5000円。会費が5000円、頼母子の金額が1万円となっており、毎月2万円を持参していた。

 会合が始まると、まず入札が行われる。それぞれが利息的な金額をメモ用紙に書き込み、最も高額な数字を書き込んだ人に落札され、その金額をメンバー全員に支払い、集められた総額の残りを受け取るというものだった。

 回を重ねる毎に入札人数が減り、同時に書き込まれる数字も低くなるので、最後になれば丸々の金額が入り、それまでに受け取った利息が得になるというものだが、毎回入札が終わると宴会に進展する会合でもあった。

 全て自由席、いつも鍋料理が中心で、一卓に5人ずつということだったが、ある時、ハゲの水炊きで「肝」が大好きという人がおられ、最初にそれを土鍋の中へ入れてしまったからさあ大変。脂っこくて他の誰もが食べられず、鍋を新しく交換して貰ったこともあった。

 あちこちに旅行に出掛けた思い出もある。私の場合は仕事の関係で前日にキャンセルということが何度かあって迷惑を掛けたが、皆さんがご理解くださり、いつも温かく接してくださったので有り難かった。

  桜島の古里温泉に行った時に面白いことがあった。旅館側で手配して貰ったコンパニオンが時間を過ぎても帰らず、「お客さん達は楽しい人ばかり。ちょうど暇 だから10時までお付き合いします。もちろん、追加料金はいただきません」となり、飲んだお酒の量は半端じゃなかったが、皆さんがいつになくご機嫌だった のが印象に残っている。

 次の日に行ったのが指宿の砂蒸し風呂。確か海辺の砂浜だったと記憶しているが、メンバーの中に何度か来られていた人がおり、その人の行動を真似ながら付いていたことを憶えている。

 その会は、それから10年ほど続いたが、高齢の方が体調を崩されたり亡くなられたこともあり、やがて解散となったが、今でもメンバー全員の方々のことが懐かしい。

 私を誘ってくれた友人も、今は大きな手術を受け、互いに無理の出来ない体調になっているが、会う度にその当時の話が出るのも楽しいところだ。

 当時、頼母子はあちこちで講が組まれ、主婦が中心となって組織され、途中で破綻したケースも少なくなく「頼母子だけはするな」なんて言葉を耳にすることも多かったが、私が入会させて貰った講は、そんな訳で楽しい思い出となっている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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