2012-06-14

体験談から  NO 2956


 昨号に「土下座」という嫌な言葉が出ていたが、この「土下座」で忘れられない思い出があるので触れておこう。

 随分昔の話だが、まったく知らない地域からご葬儀の依頼があり、1時間ほど車で走行してそのお家に着いた。

 大きな門構えの立派なお家。会社を出る前からご当家のお名前について心当たりがないかと考えて来たが全く記憶になく、恐る恐るの心情でインターホンのボタンを押した。

 社名を伝えると「遠いところを有り難う、すぐ開けますからね」と女性の優しい声。しばらくすると上品な女性が迎えに出て来てくれた。

  このお客様とのご仏縁は、上がらせていただいた座敷につながる廊下で分かった。どこかの葬儀でお会いしたことのあるお寺様が笑顔でお迎えくださり、「実 は、私の檀家でもあるが親戚でもあるのだよ」と仰り、過去に担当させていただいた際に好感を抱いてくださったそうで、わざわざご指名という経緯が判明し た。

さて、そんなお客様なのにどうして「土下座」という問題がとなる訳だが、それは私や弊社がミスを犯したということではなく、病院からご当家まで搬送を担当した寝台自動車がとんでもない行動をしていたからであった。

  病院指定という葬儀社からやって来た寝台自動車だが、仏間にご安置を済ませた後、葬儀を担当させてくださいと懇願し、そのお寺さんが決まった業者があるか らと説明されながら入り口まで行くと、履物を履いた運転手が突然「土下座」の行動を見せ、頭を地面に擦り付けるような態度で「どうかさせてください」と 言ったそうだ。

 そんな運転手に対して、そのお寺様は次のように説教をされたと伺った。

「あなたが土下座をする行動で余 計に依頼する気持ちがなくなってしまった。あなたは自身や会社の利益のために土下座をしているもので、土下座という本来の意味を履き違えている。土下座は 謝罪する場合の行為で、切望のためにするのはおかしい筈。ご仏縁がなかったと思って引き取ってください」

「そうですか」と返し、ケロッと態度を変えたそうでご立腹されておられたが、内心「絶対にミスは出来ないぞ」と引き締めたのは言うまでもない。

  病院から搬送する寝台自動車だが、何とか受注をと執拗に迫られたというトラブルも多く、中には「15分以内に火葬場を手配しなければ、明後日までの葬儀は 出来ません」などと強迫するという悪質なケースもあり、クレームを受けた病院側が謝罪したという事件も少なくない事実がある。

 弊社へご依頼くださる電話は、大半がお客様から直接のもの。「弊社でないと」と仰ってくださるお客様の存在が、弊社の誇りの一つでもある。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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