2012-10-05

木枯らしの訪れ早き仏かな  NO 3066


  流通ジャーナリストの「金子哲雄」さんのお通夜で弔問者に配布された挨拶文や、葬儀に関する祭壇、遺影、式場、戒名、御斎の料理から納骨場所までご自身で 決められていた事実に如何にも彼らしい行動だと感じ入ったが、「就活」ならぬ「終活」という言葉が世に認識される発端になるような気がしている。

 30年ほど前、ある会社の創業者の葬儀を担当させていただいた際、打ち合わせ時に喪主を務められた息子さんから「こんなものがあるのです」と、テーブルに置かれた封書の中身を拝見して驚いた出来事があった。

 そこにはご本人が要望される葬儀の「ありかた」が決め細やかに書き込まれてあり、添えられていたカセットテープにはご自分で録音された「本日は私の葬儀に際しまして」から始まるご挨拶が収録されていたからである。

  この数年、「私の葬儀について」との事前相談に来られる方が増えたが、そこには暗さ、悲しさ、哀れみの世界は微塵もなく、同伴されるご家族の方々をはじめ 誰もが明るいので不思議と思われているようだが、本当の臨終の時を気付かれると決してそうではないことを知るべきで、それらがまだ先のことだと考えておら れるケースだけが明るく振る舞える背景が秘められている。

壮絶な闘病生活を過ごされた晩節、病院の白い天井に思い浮かばれ、去来されたこ とはどんなことだったのでしょうか?という司会のフレーズがあるが、この仕事に長年従事して学んだことは、「人は一秒でも長生きをしようと努力すべきで」 「家族は一秒でも長生きして欲しいと努力すべき」ということで、若い政治家が「尊厳死」なんて軽々しく触れて欲しくない問題である。

 名優と称されていた「大滝秀治」さんのご訃報を知った。あの俳優さんの「味」はあの人独自のもので、誰も演じることの出来ない特別な存在感を「魅せて」おられた。

  先月だっただろうか、NHKで「高倉健」さんの密着特集番組が放送され、映画「あなたへ」の撮影のひとこまに漁船の船頭さんを演じる「大滝秀治」さんの場 面があったが、短い台詞に対して「高倉健」さんが涙を流し、「あれは何でしょうね?!」と感激をされていた光景が印象に残っている。

 それを感じられた「高倉健」さんという人も普通ではないが、その人にそう思わせた「大滝秀治」さんの凄さを改めて感じたやりとりでもあり、静かに面影をお偲び申し上げながら手を合わせた。

  さて、友人の息子が結婚することになり、新郎の父としての挨拶を書いてくれと頼まれた。彼はずっと挨拶のことで「心労」していたみたいだが、「したためて 参りました。失礼ですが読ませていただきます」と宣告して堂々と読んだらよいとアドバイスをすると、ホッとした表情を見せ、「そうだな」と納得していた。

  結婚式は「華燭の典」とも言われ、華は「花」で新婦を表し、燭は「蝋燭」で新郎を表し、どちらも周囲を明るくするものだからそんな家庭を築くべきなんてこ とを書こうかなと考えているが、過去に初めて媒酌をすることになった際、新婦の実家に結納の儀で参上した東北のある地方で、寄られた多くの方々から「神 様」と呼ばれ、次々に飲めない酒を勧められた出来事が思い出される。

 その地方では媒酌人のことを「縁結び」から「神様」と呼ぶことを知ったが、あまり言葉が通じなかったので心細かったことを憶えている。

 今日の写真は、弊社の式場で行われた講演会と併催の落語のひとこまだが、来場者がいっぱいになり、落語の人気が高いことを再認識した出来事だった。
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