2012-11-09

過去・現在・未来  NO 3101


  愛読している「大法輪」の今月号のテーマは「知っておきたい天皇と仏教」というもの。「聖徳太子と仏教」「聖武天皇と光明皇后」「天皇と最澄・空海の関 係」「花山院と観音信仰」「天皇から賜った紫衣の物語」「泉涌寺と天皇家」「皇室ゆかりの寺 門跡寺院とは」「天皇のための仏教の祈祷」「皇族出身の僧」 「天皇の葬送儀礼」「天皇家の念持仏」「天皇に関わる仏教用語」など、興味深い内容が満載だった。

 お寺の本堂には坊塔のような位牌で歴代の天皇を祀られていたり、今上天皇のご健勝を祈念するための象徴が置かれていることを何度も目にしたが、意外と皇室と仏教のつながりとは深いもののようだ。

 話は変わるが、交流のある中に「禅」に造詣深い人物がいるが、彼が「温故知新」に因んで味のあることを教えてくれたので紹介申し上げる。

 彼によると、禅の世界に「裂古破今」という言葉があり、社会が変化しても先人達が培ってきた「知恵」を忘れてはならぬという意味だそうで、本質を見極め、新旧互いの良さを混合し合う知恵を絞ることが大切と教えてくれた。

過去の新聞記事で印象に残っている内容があった。「精神の構造改革」の項で「仏教の道徳心、再評価を」「近代主義は行き詰まり」という見出し。編集委員の質問に、著名な哲学者「梅原 猛」先生がお答えされている内容だが、次の部分に興味を覚えた。

>これから、どんな生き方が必要になってくるのでしょう。

 『近代主義の崩壊は大変なこと。人類がどれだけ犠牲を払わなければならないのか。今こそ、哲学がないとダメです』

 そんなご意見の後に、明治時代の廃仏毀釈から教育勅語への分析を述べられ、『日本人の生活の背景になった仏教の道徳について、考え直す必要があります』と説かれている。 

 そして、『人だけでなく、生き物すべてを殺すなかれという思想は、素晴らしい』と考えられ、『核戦争の回避や環境問題を考える上で、21世紀の人類の道徳になると確信しています』と答えられていた。

 このお話に対して編集委員は、『生きとし生ける者を慈しむ仏教の道徳心がよりどころになる』という梅原さんの考えには、説得力があると結ばれていた。

 友人が、若くして亡くなったお父さんの五十回忌を営んだそうで、お母さんが彼と妹さんの二人を見事に育まれたことに拍手を贈りたいが、読経が終わってからのお寺さんのお話が素晴らしく、ここに聞いたままをしたためておこう。

  「施主さんは、幼くしてお父さんを亡くされるという不幸がありました。お父さんは、幼い子供を残してこの世を去ることに、どんな思いを抱かれておられたの でしょうか? 一方で、お母さんはご苦労をされて子供を育まれ今日に至ったのです。仏教では50回忌の法要に関して「紅白」という慣習があります。それ は、決して早死にされたことに対することではなく、この法要をつとめることが出来る家族の絆を賛辞することであり、よく今日まで頑張ってくれたねというこ とでもあるのです」

 施主は私と同年生まれだが、彼の人に対する姿勢は学ぶことばかりで、彼の存在からいつも謙虚であるべきと教えられたのは30年も前のこと。人生の中で素晴らしい人との出会いは、正に財産である。

 今日の写真は、16人編成のミニ・オーケストラのひとこまで、私が作曲した「逝かれし人へ」が初めて演奏された時の記念の一枚である。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net