2012-12-03
想定ない? NO 3118
私は病的なほど恐怖症である。テレビのCMで出て来る「非破壊検査」という会社に興味を抱いている。と書けば「株」でも有しているの?と誤解をされそうだ が、そうではなく、ただ単に金属疲労など外見で発見不可能な部分にメスを入れる専門業者が存在していることに喜びを感じているだけである。
今回のトンネル事故では「想定外」という言葉や高度成長期のインフラの歪なんて識者のぼ意見も出ているようだが、物事には完全という世界はなく、知らない内に崩壊の糸口が始まっていると考えたいものである。
関西空港へつながる「関空橋」や「明石大橋」また「瀬戸内大橋」を電車や車で走行していると、早く陸地に着かないかなといつも思ってしまうので困るのだが、どんなことでも最悪の想定をするのは昔から変わらない私の性格と「事故納得」ならぬ「自己納得」をしている。
数年前、ある著名な方の偲ぶ会を担当した際の出来事。ご遺族と発起人組織の皆さんからのご要望でプロデュースと司会を担当することになったものだが、すで に日時と会場ののホテルや祭壇設営をされる大手フラワー会社も決まっており、スケジュールの都合で当日入りをすると無理なお願いをしたら、ホテルのバン ケット支配人の方から「来てていただけるだけで名誉なことです」と了承をいただいたのだから信じられないかもしれないが、彼は、この世界での私の存在の事 実をご存知だったからであった。
当日、小物を搬入する手伝いだけをお願いしており、本番開式の2時間前にホテルの会場に入ったら、すでに祭壇が完成しており、約600席のフルコースのセッティングも終わっていた。
支配人さんと共に流れのチェックを始めた時、<あれ!?>という不思議な感じを抱いた。どのように見ても祭壇のセンターが3メートルはぐらい狂っているか らである。それを指摘すると支配人さんも気付かれたようで、急いでフラワー会社のスタッフ達を呼ばれ、やり直すように命じられた。
舞台としてセッティングされている台を移動させるだけの作業なので助かったが、「申し訳ありませんでした」と謝罪するフラワー会社の姿勢が心配になったところから、祭壇の横側と後方に回って問題がないかと確認することにした。
気付いたのは大きなご遺影。一般的に電照タイプを使うケースが多いが、この時はそうではなくお写真そのものを等身大に拡大したものを祀られており、室内照明の反射が影響しないように手前側に少し寝かせされていた。
「支配人さん、もしもご遺影が倒れたりしたら私はここを脱出しますからご覚悟をよろしく」と伝えたら驚かれ、当たり前のことだが、それがどういうことかと聞かれた。
「あれです。釘と紐のことです」と言ったのは、ご遺影を寝かせて留めている一本の釘と信じられないほど細い紐のことだった。
もしも釘が抜けたら、もしも紐が切れたら、なんて「たら」の連発で最悪の想定を提案したら、彼は「私も恐ろしくなって来ました」とフラワー会社のスタッフに「厳重なように」とやり直しを命じられた。
その結果だったかもしれないが、本番は出席された皆さんから絶賛されることになったが、「当ホテルでこんな嬉しいお言葉を頂戴して有り難いことです」と手を握られて感謝された。
後日、その支配人さんと再会することとなったが、その際「最悪の想定を発想されることに超一流のプロの姿を」なんて嬉しい褒め言葉を頂戴した。