2003-03-18

ナレーターを担当して    NO 376

私の家には猫が3匹いる。今、その内の1匹が発情期。ノイローゼになりそうな声で泣いている。そんな中でこの原稿を打っている。

 担当していた葬儀を終え、待たせていたタクシーに乗り、事務所に帰る。すぐに創作しておいたナレーション原稿とオリジナルなBGMのテープとCDを手に自宅に向かう。

 数分で着替えて次の会場にタクシーで走る。

 今度は式典のナレーター。第一部を無事に済ませて第二部が始まる。第二部はコンサート。これは、久々に心の扉を開かせてくれる音楽に浸るひとときとなった。

 演奏を聴かせてくださった方々は「日本華楽団」の皆さん。3000年の歴史を持つ中国の音楽を耳にする優雅な時間を過ごさせていただいた。
 
 奏者は6人、『大阮』『古箏』『二胡』『揚琴』『笙』『笛子場』などの音色の合奏を拝聴したが、音楽を聴き楽しむには聴く側の姿勢が大切。多くの曲が演奏された中、蘇州夜曲、夜来香何日君再来などが心に残る演奏となった。

 奏者の中に中国国籍の方が2人おられた。『大阮』を担当されている「襲林さん」と古箏のパート「載茜さん」だった。

 襲林さんは、在日の中国音楽家。芸術性、独創性などに於いてハイレベルな中国音楽の創造と普及、そして、楽器の編成改革など、東洋音楽の新しい芸術を実践される人物。上海音楽学院で作曲と指揮を学ばれて教職の立場にあった方。

 民俗音楽学の書籍の編修や映画音楽など多岐に亘る音楽活動の中、日本に於いて中国人以外で構成された中国民族楽器楽団「オーケストラ華夏」を創立。その後、「日本華楽団」をプロデュースされ、自らも演奏をされておられる。

 素晴らしい音楽は心の扉を開けさせる。やはり、本物の音楽と出会うと至上の喜びの時間共有となるが、今日は、特別に得をしたような思いがしている。

 さて、担当したナレーションだが、「あんな原稿をどのようにして創作されるのですか?」
「あなたは普通の人ではないですね?」「今日のナレーションは、初めて体験する不思議なひとときでした」 そんなお言葉を頂戴したが、皆さん、私の本業をご存じなく、それについては触れないようにしてきた。

 私は、決して特別な存在ではない。単なる悲しみのプロである。1万数千人の方々のご葬送の儀式を担当してきた実績はあるが、自身もこの日を迎えることを学んでいるから特殊な「味」を感じていただけるのかも知れない。

 そんな勝手な思いを抱きながら会場を後にした。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net