2015-03-21

名調子  NO 4138

遠い昔のことだが、NHKの宮田輝アナウンサーと共に知られていた高橋圭三アナンサーに面白い話を拝聴したことがある。

「美しい日本語を使うなら、まずは汚い言葉を避ける思いが大切。出来るだけ否定語を使用しないようにすること」

これは、目にした花の姿に「汚い花ですね」と言わずに「あまり美しくないですね」と和らげる配慮などもあるが、私が講演などを通じて提案しているのは「否定語」と「肯定後」で相手側が受けるイメージの違いで、次のような例を挙げたことがある。

閉店時間寸前のホテルのラウンジに飛び込んで来たお客さんが「コーヒーをお願いします」と言われたのだが、生憎と片付けてしまったところなので普通なら<こんな時間帯だし>と思い、「もう閉店時間前なのでコーヒーは出来ません」と対応してしまいそうだが、もしそう言わずに「紅茶ならご用意出来ますが」と言えばどうだろう。随分と相手側の心情に差異が生じる筈である。

この問題はどんな業種でも当て嵌まることで、我が葬儀業界にあっても日々に発生している事象で、急に訃報を知って取り急ぎ担当している我々葬儀社にお供え物を注文したいという電話が掛かって来ることも少なくないのである。

お供え物にも様々な種類があることも事実で、乾物の盛り籠、缶詰の盛り籠、果物の盛り籠、供花などがあり、地方それぞれに慣習の異なることもあり、種類としてはグローバルということも事実である。

「果物の盛り合わせでも」と開式前に依頼されても取引先の果実店に依頼して届けて貰っても時間が間に合わないということになるが、こんな時に間に合うものがあればそれを「肯定語」的な立場を思い浮かべて対応し、例えば「供花ならご準備可能で、間に合いますが」となれば、相手様は必ず「それでお願いします」と感謝されることになるだろう。

物事の奥の広さを考えることも重要なので「供花」に関して触れておくが、最近は近くのフラワーショップが全国提携を結んでおり、どこからでも発注することが可能となっているが、式場側には「持ち込み料」を課すところもあるし、ご遺族側が頑なに固辞されていることもあり、一方に故人がお好きだった花や色で統一されていることもあるので考えたいものだし、「辞退」されている式場に突然届いたら並べることが出来ないという「事態」になる危険性もある訳だ。

さて、冒頭の高橋アナウンサーの話に戻すが、NHKの歴史で語り継がれている神様的アナウンサーがおられたことも教えてくださった。それは当時の大相撲などをラジオで実況担当されていた「和田信賢アナウンサー」で、ある時高橋氏が勉強するために同席されていたら、土俵上で立ち上がった力士が「左四つ」だったのを「立ち上がって右四つ」と言われてしまって大変だと思った瞬間、「組変えて左四つ」と伝えたのだから耳しか情報のないリスナー達は熱戦を感じただろうと想像する。

この「和田信賢アナウンサー」は69連勝していた双葉山が安藝ノ海に敗れた際の実況を担当していたことも有名で、初日から4日目まで担当していたその4日目に連勝がストップしたのだから大変。取組前に「果たして70連勝なるか?70は古希なり。古来稀なり!」と伝え、この予想外の出来事に「双葉山敗れる。双葉山敗れる。双葉山敗れる。時、昭和14年1月15日旭日昇天、まさに69連勝。70勝を目指して躍進する双葉山、出羽一門の新鋭安藝ノ海に屈す。双葉70勝ならず」という実況が残っている。

また和田信賢アナウンサーは8月15日の終戦放送で進行役を担当され、「終戦の勅令」を朗読されたことでも知られるが、それから7年後の8月14日、ヘルシンキで行われていたオリンピックの帰路にパリで急逝され、享年40歳だったので惜しまれた。

結びになるが、この双葉山に勝った安藝ノ海に対して、親方が教えた言葉が素晴らしかった。

「勝って騒がれる力士より、負けて騒がれる力士になれ」

この「独り言」は間もなく引っ越しとなりますのでその時はお知らせ申し上げます。
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