2016-09-17
忘れられない友人 NO 4978
若かりし頃、ある日友人のお母さんから電話があり、「相談したいことがあるので今晩来て欲しい」と言われた。その日の夜、約束通りの時間に行くとすぐに応接室に通され、そこには友人と向かい合うようにご両親が座っていた。
言葉で表現出来ないような重い雰囲気があり、友人の目が涙を流していた証のように赤くなっていた。
相談というのは友人があちこちの友人や知人に借金をしていた事実が判明し、お母さんが「これを機に解決したいから全てを打ち明けなさい」と言われるのだが、彼は頑なに隠している状況だった。
お母さんは私に「あなたに借金していることはないの?」と問われたが、これまで彼に借金を頼まれたことは1回もなく、「一切ありませんと」返した。
私が行くまでに彼が吐露した相手と金額がメモされていたが、大きな金額ではなく6人ということが判明していた。
私がアドバイスをしたのはここでやり直すには隠している相手があれば同じ問題になるから全てを正直にということだったが、彼は「これで全て」と言い切った。
ずっと無言で座っておられたお父さんが「分かった、他人様に迷惑を掛けたらいけない。この人達には親の責任として解決するから」と結ばれた。
私は、その時に彼が全てを打ち明けているようには思えなかった、彼と交友関係のある人達を知っていたからで、メモされた人達よりもメモに登場していない人の方の可能性が高いと思ったからで、もしも隠している相手が数人あればまた彼の今後が暗くなることが理解出来た。
しかし、彼が俯いて涙を流してテーブルの上のメモを見ている光景を目にするとそれ以上は言えず、「もしもあったらどうにもならないぞ」とだけ伝えた。
それから数日後、またお母さんから電話があった。今度は「すぐに来て欲しい」と言われるので車で向かった。
やはり打ち明けなかった人達がいる事実が判明し、それは過日のメモに登場していた人数の3倍もあった。表面化したのは過日に判明した人達に返済をしたことからで、噂を知った人達が「返してほしい」と行動したからだった。
「どうしてあの時に言わなかったのだ」と詰問しても叱られるから言えなかったと答えるのでどうにもならず、まだ存在するのではと心配になったが、「本当にこれで全てだ」と真剣そうな目で言い切った。
お母さんは叱責されることはなかった。「苦しんだでしょう。もっと早くに相談してくれていたらこうなっていなかったのに」と優しい言葉を掛けられた。
彼は友人仲間でも「心の弱い人物」と指摘されており、軽度のアルコール依存症があり、飲みたくなると誰かにお金を借りるという行為が繰り返されていたことが判明した。
私はコップ一杯のビールも飲めないタイプだったが、友人達との会食で彼の酒好きなことは知っており、ある瞬間から泣き始める所謂「泣き上戸」で、それが面白いからと皆で飲ませるのでいつも制止していたこともあり、彼は私のことを最も大切な友人と思ってくれていたようで、それをお母さんから聞かされたことを覚えている。
全てを表面化せずに物事を解決することは不可能で、同じ轍を踏むことになり「あの時に正直に打ち明けていたら」と後悔することになるが、それが命取りにつながることもあることを学びたいものである。
彼はアルコールが原因で若くしてこの世を出立してしまった。トヨタのカローラが登場した際にレンタカーで京都へ行ったことも記憶しているが、亡くなった事実を知ったのは随分経ってからで、衝撃を感じながら何とも言えない寂しさを覚えた。
今日の写真は「全日空の787型機」を。昨日に広島空港に着陸した便でまた不具合が発生したニュースがあって驚いたが、サムスンのスマホが火災の危険性があるところから機内では絶対に電源を切ることとバッテリーの充電を禁ずる通達が出されたことも報道されていたので気に掛かるが、ニュース映像で実際の火災事故の映像を見てもしも機内なら大変なことになるのは徒然である。